研究検査科このページを印刷する - 研究検査科

研究検査科では、検体検査、生体検査を行っています。検体検査は、採取された血液、尿、便、喀痰などの検体を、特殊な機器を用いた分析や、顕微鏡での観察をする検査です。生体検査は、直接患者さんに触れて行われる検査のことで、体のあらゆる機能を調べる検査です。
また、外来患者さんの採血業務は研究検査科主体で運営しています。検体採取から報告まで携わっており、迅速かつ正確に報告しています。
 

研究検査科の目標(2023年度)

1.ていねいな検査と患者サービス向上
  ・チーム医療への積極的な参加
  ・感染対策の徹底
  ・患者背景を理解した上での検査の実施・対応
2.臨床検査の質の向上のための教育・研究の推進と安全管理の徹底
  ・認定資格の取得推進
  ・臨床検査の品質確保のための精度管理の徹底
  ・学術活動への積極的な参加と、研究発表の実施
  ・インシデント等の業務改善時の速やかな緊急処置と、熟考された是正処置の実施
3.働き方改革と職場環境の改善
  ・計画的な年次休暇の取得
  ・超過勤務時間の削減
  ・働き方改革のためのタスク・シフト/シェアの推進と、業務拡大に向けた厚生省指定
   研修の受講推進
  ・整理整頓の実施
  ・勤務管理システムの運用と、出退勤の管理徹底
4.患者確保と黒字経営
  ・超音波検査予約枠の有効活用による検査件数の増加
  ・業務の運用を見直し、検査結果報告までの時間(TAT)の短縮に努める
 

部員構成

検査科長:1名
臨床検査技師長:1名
副臨床検査技師長:1名
主任臨床検査技師:3名
臨床検査技師(常勤):8名
臨床検査技師(非常勤):2名
助手:2名
 

部門構成

1.検体検査(生化学、免疫、血液、一般、輸血など)
2.細菌検査(菌名同定、薬剤感受性、PCRなど)
3.病理検査(細胞診、組織診など)
4.生理検査(心電図、肺機能、超音波、脳波、神経伝導速度など)
 

検査概要

1.検体検査

検体検査室では、血液や尿、便など患者さんから採取された検体を様々な検査機器を使用し測定したり、顕微鏡で細胞を観察したりしています。

生化学検査
 肝機能(AST,ALT等)や腎機能(BUN,CRE等)などを自動分析装置
で定量測定しています

免疫血清検査
腫瘍マーカー(CEA,CA19-9等)、感染症(HBsAg,HCVAb等)や
内分泌学的検査(インスリン、TSH等)の検査を行っています。

血液検査
血液や骨髄などに存在する血球(赤血球、白血球、血小板等)
の数やヘモグロビン量、血液像(形態および種類の分類)を
分析装置や顕微鏡を使用し検査しています。
また、血液の凝固機能検査も行っています。

一般検査
尿中に存在する細胞や成分を分析装置や顕微鏡を使用し
検査しています。便や髄液、穿刺液の検査も行っています。

輸血検査
照射赤血球液(RBC)、新鮮凍結血漿(FFP)、濃厚血小板(PC)、
自己血などの一元管理と血液型や不規則抗体検査を行っています。より安全な輸血業務を目指し取り組んでいます。

 

2.細菌検査

細菌検査室では、身体から採取された様々な検体(尿、喀痰、便、血液、穿刺液など)から感染症の原因となる細菌を分離、培養し同定しています。原因菌が同定されたら、どのような抗菌薬であれば有効な治療ができるのか検査を行っています。
また、感染対策チーム(ICT:Infection Control Team)の一員として、患者さんだけでなく、そのご家族、病院職員など病院内の全ての人を感染から守るため日々活動しています。臨床検査技師の役割としては、病院内で分離された微生物をいち早く知ることができるため、主治医や看護師との連携、病原微生物についての情報提供など、感染対策に必要な情報の発信を行っています。加えて、抗菌薬適正使用支援チーム(AST:Antimicrobial Stewardship Team)の一員としても活動しており、感染症の治療において効果的な抗菌薬治療、副作用の防止、薬剤耐性菌出現のリスク軽減などのため、抗菌薬の適正使用を促し、適切に管理・支援しています。

【一般細菌検査】
 1.塗抹染色
感染症の原因と思われる部位(痰、尿、創傷部など)より採取した 検体をスライドグラスと呼ばれるガラス板に塗り、特殊な染色をして 顕微鏡で見ます。細菌がいる場合は色や形態、炎症細胞(白血球)を 観察し、感染症の原因となる菌であるか推定します。

2.培養・同定検査
採取した検体を培地(細菌の発育に必要な栄養分を含んだ物質)に塗り、 発育に適した環境で培養し、全自動細菌検査システムなどを用いて 病原を確定します。

3.薬剤感受性検査
感染症を起こしている病原菌に対して、どの抗菌薬であれば効果があるのかを判定します。医師が治療薬やその量を選択する際に、この結果が参考となります。


 【抗酸菌検査】
抗酸菌とは一般的な「結核菌」と「非結核性抗酸菌」に分けられます。 結核は過去の病気ではなく、現在も毎年10,000人以上が発症し、2,000人前後の死亡者数を認めています。 非結核性抗酸菌は結核菌以外の抗酸菌であり、土や水の中などの環境中にいる菌で、人から人に感染することはありません。

抗酸菌検査では主に痰や気管支洗浄液などを検体とします。
1. 塗抹検査
抗酸菌が赤く染まる特殊な染色をして顕微鏡で観察します。抗酸菌が認められた場合はすぐに主治医へ報告します。至急の場合は30分程度で報告しています。
2. LAMP法(簡易PCR検査)
非結核性抗酸菌は検出されず、結核菌のみ検出できます。至急の場合は2時間以内に報告しています。 
3.外注検査
非結核性抗酸菌に対する遺伝子検査、結核菌を含める抗酸菌の培養検査は当院では行っておらず、検査センターへ依頼しています。PCR検査は2~4日後の報告、培養検査は6週間後(菌の発育が遅いため)の報告となります。菌の量が少ない場合、PCR検査では検出されない場合もあるため、培養検査を併用することが多いです。

【遺伝子検査】
当院では新型コロナウイルスおよび結核菌に対して LAMP法(簡易PCR検査)を用いた遺伝子検査を行っています。 新型コロナウイルスは、至急の場合1時間以内に報告しています。

【迅速検査】
各感染症の専用検査キットを用いた簡便で迅速性(数分から20分程度)に優れた検査法です。 当院では、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、 ノロウイルス、ロタウイルス、A群β溶結性連鎖球菌(溶連菌)、レジオネラ菌、肺炎球菌、 マイコプラズマ、クロストリジオイデス・ディフィシル毒素の迅速検査を行っています。

【院内感染対策】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)をはじめとした、抗菌薬に耐性を持つ細菌などによる院内感染をなくすため、入院中の患者さんから検出されている菌の状況を「院内感染対策委員会」に報告し、院内感染の拡大防止に積極的に取り組んでいます。
 

3.病理検査

   病理検査室は、患者さんから採取された組織や細胞を 顕微鏡で観察、解析し形態学的な診断を行っています。



細胞診検査
人の体を構成する最小単位である細胞を検査の対象とし、 それらの細胞を顕微鏡で細かく観察することで、病気の 診断補助や治療方針の選択、治療効果の判定などに役立てる 検査です。子宮癌や肺癌検診などで広く行われています。 細胞診検査の利点は、組織検査に比べて体への侵襲が少なく、 検体採取も比較的容易で、組織検査よりも早く結果がでます。

病理組織検査
内視鏡検査にて採取された生検材料や、手術にて摘出された臓器を 肉眼的に観察します。さらに特殊な方法を経て組織標本を作製し 各種染色を行い、顕微鏡で観察することにより各病気の診断が 行われています。これらの組織診断は、腫瘍の種類や炎症の程度 など詳細に診断され、その後の治療方針や予後の判定などに役立てられます。検査に要する日数は、各種工程を経るため約2週間です。


4.生理検査

生理検査室では、心電図、運動負荷、超音波、肺機能、脳波、聴性誘発脳幹反応、神経伝導速度、超音波などの検査を行っています。

心電図検査
ベッドに仰向けに寝て、手首・足首にクリップ式、胸部に吸盤式の電極を取り付けます。胸部および左右の手首・足首に電極を装着します。心臓の筋肉に流れる微弱な電気信号を波形にして調べる検査です。不整脈、心臓肥大、心筋梗塞などの診断や治療判定、経過などを判断するのに有用です。記録は1分~数分で終わります。胸が痛い、動悸がするなどの自覚症状がある場合はお申し出ください。

ホルター心電図検査
心電図の電極シールを胸部に貼り、小型の記録機器を取り付けて日常生活での心電図を24時間記録します。24時間後に取り外しに来院して頂きます。長時間記録することで、不整脈や狭心症の診断、治療効果の評価に有用です。機器装着と検査説明は約10~15分程度です。入浴、シャワーは出来ません。電気カーペットや電気毛布などは使用できません。


運動負荷心電図検査
 トレッドミル運動負荷心電図検査

心電図と血圧を測定しながら、徐々に傾斜と速度の変化するベルトコンベアの上を歩きます。運動することで心臓に負荷をかけ、安静時にはわからない狭心症や不整脈の診断に有用です。検査時間は、準備を含めて30分程度です。運動しやすい服装、靴でお越し下さい。足腰に怪我や痛みがある場合はお申し出下さい。

CPX運動負荷心電図検査
心電図と血圧測定に加えて、マスクを装着して呼気の分析をします。
ペダルが徐々に重くなる自転車をこいで運動していただきます。心臓に負担をかけ過ぎずに長時間運動を続けられる最適な運動強度を調べる検査です。検査時間は準備を含めて30分~1時間です。運動しやすい服装、靴でお越し下さい。

肺機能検査
マウスピースを口でくわえ鼻をクリップで止めて呼吸して頂きます。深呼吸や呼吸の速さを素早くする、ゆっくりするなど声かけに合わせて呼吸を行います。肺活量や、気道の炎症、抵抗など、気道から肺の障害の有無について判断するのに有用です。検査時間は、15分~30分程度です。検査を受けられる方の状態に応じて前後します。

脳波検査
頭皮上に電極を取り付け、目を閉じベッドに仰向けに寝て行います。
脳の細胞が活動するときに出る微小な電気信号を、波形として記録する検査です。途中、深呼吸や光刺激などを行います。てんかんや脳血管障害、意識消失等の原因を診断するのに有用です。
検査時間は準備を含めて約1時間程度です。検査前にお手洗いを済ませて下さい。

聴性誘発脳幹反応検査
頭皮上、耳たぶに電極を取り付け、ヘッドホンをしてベッドに仰向けに寝て行います。ヘッドホンからクリック音を流し、変化する脳の電気信号を記録します。乳幼児など一般的な聴力検査が難しい場合でも耳の「聞こえ」を調べるのに有用な検査です。

神経伝導速度検査
手足など検査を行う部位を見えるように衣服を調整し、ベッドに寝て検査を行います。手や足にある神経の走行に合わせて、皮膚の上から電気的な刺激を与え、その刺激が神経を伝わる速さを 調べます。痺れや脱力感など末梢神経障害の診断に有用な検査です。 検査時間は検査部位により異なり、30分~1時間半かかります。検査前にお手洗いをお済ませ下さい。

超音波(エコー)検査
 「超音波」という人には聞こえない音を利用して検査します。 超音波を身体に当て、臓器から反射(エコー)して戻ってくる音を コンピューターで画像化し、臓器の形態、異常等を調べる検査です。 当院では、腹部(消化器領域・泌尿器領域・生殖器領域)・心臓・ 表在臓器(乳腺・甲状腺等)・血管系(下肢動静脈・頸動脈等)の検査を行っています。 検査時間は、15分~30分です。

動脈硬化検査
ベッドに仰向けに寝て、両腕、両足首の血圧と脈波を測定します。この検査では、動脈の硬さや詰まり、血管年齢を調べていきます。検査時間は5~10分程度です。

終夜睡眠ポリグラフィー検査(PSG)
睡眠時無呼吸症候群の検査です。 ご自宅での睡眠時に検査して頂く簡易検査と、一泊入院して頂き検査するPSG検査を実施しています。簡易検査は、ご自宅に機械を持って帰って頂き、睡眠前に装着してもらい2日間の検査が終了したら病院へ機械を持参して頂きます。PSG検査は、入院後、脳波や呼吸の状態、心電図、いびき、酸素飽和度など様々なセンサーを取り付け一晩記録していく検査です。
 

参加学会一覧

日本臨床衛生検査技師会
国立病院臨床検査技師協会
国立病院総合医学会
国立医療学会
日本臨床栄養代謝学会
日本臨床微生物学会
日本臨床細胞学会
日本臨床救急医学会
日本超音波医学会
日本超音波検査学会
日本乳腺甲状腺超音波医学会
日本心エコー図学会
日本心臓リハビリテーション学会
日本不整脈心電学会
 

認定・資格一覧

細胞検査士 3名
超音波検査士 5名(消化器、循環器、体表臓器、血管、泌尿器)
JHRS認定心電図専門士
緊急検査士 3名
二級臨床検査士 3名
POCT測定認定士
認定救急検査技師 2名
NST専門療法士
臨床栄養代謝専門療法士(腎疾患)
有機溶剤作業主任者 2名
特定化学物質等作業主任者 2名